ラブレターでフラれたー
「ん?」 下駄箱を覗き、固まる彼は青木隼人。なんとそこには―― 「ラッブレター、だっ!!」 手元を覗きこんできた藤本光が叫んだ。その声に驚いて思わず…叫んだ。 「ギャ――っ!!」 「隼人もってもてー」 「うるせぇ!」 「こわいー」 隼人は教室へ向かう。手にはラブレターをしっかり握って。 青木隼人さま ずっとずっと、好きでした。 正直、お返事を聞くのは怖いです。 でも、隼人さんとちょっとでもお話したくて… 学校で会うのは誰かに見られたときお互いに気まずいと思うから、日曜日の午後一時に駅前で待っています。 (可愛い写真付き) 日曜日、隼人は出かけた。恥ずかしいほどに浮かれて出かけた。それを光が付けて行った。 駅前。待ち合わせるカップルでごった返している。 女の子が近くを通る度に隼人はそわそわした。それを物陰から見て光はによによした。 1時、彼女は来ない。2時、まだ来ない。3時、まだまだ来ない。4時、光が帰った。5時、空が赤らみ始める、騙されたらしい。 隼人が寮へと帰って行った。背中がすごく寂しげだ。 「隼人、おかえりーっ!」 寮に戻ると、光が笑顔で抱きついてきた。やばい、泣きそうだ。 もう一人のルームメイト、堂前大樹がお茶を淹れてくれた。 隼人から離れた光が、冷蔵庫から白い箱をもってきてテーブルに置いた。なんだろうと思い、隼人と大樹が覗きこむ。 「ドンデンドンデンドーン」 変な効果音付きで光が取り出したのは――「失恋おめでとう」とでかでかと書かれたケーキ。 隼人の笑顔が引き攣った。大樹が眉を下げて苦笑いをした。 「光――っ!!」 「こわいー」 光をど突き回す隼人の姿は寂しさとは無縁だった。 振られてもいないってオチ